オーストリアの陶器メーカー アウガルテン(Augarten)
ヨーロッパの陶器メーカーと言えば、
マイセン(ドイツ)、ロイヤル・コペンハーゲン(デンマーク)、ウエッジウッド(イギリス)、
辺りが全世界で有名でしょうか。
こんな豪華な面々に囲まれてはおりますが、
オーストリアにもあります!
Augarten アウガルテン!
(ヘレンドもありますが、今はハンガリーに属しているのでまた今度話題にするとします。多分。)
アウガルテンはオーストリアの首都・ウィーンの工房で、
かつてオーストリア帝国だったころの君主、マリア・テレジアが皇室直属の陶器工房として指名した由緒ある陶器工房です。

アウガルテンと言えば!
上の写真のウィンナー・ローズ!
ウィーンのバラと名付けられたこのデザインは、
1924年に誕生してから現在に至るまで、
オーストリアはもちろん、世界中で愛され続けているデザインです。
一つだけだと、
ふーん、バラ可愛いね、
程度にしか感じない方もいらっしゃるのではと思うので、
これならどうだ!

上からキャンドルスタンド、ボンボニア大、ボンボニア小×2、小皿角型、小皿

一部開けてみました。
1つだけで見るよりも華やかな雰囲気がどっと出てきます。
まだ冬真っ盛りですが、
春らしい雰囲気が一気に増すアウガルテンのウィンナー・ローズたちです。
アンティークとしてのアウガルテン
さて、アウガルテンがどんな感じなのか簡単にご紹介しましたが、
ここはアンティークショップ。
アンティークとアウガルテン、陶器について触れてみることにします。
上記でも述べたように、
アウガルテンの歴史はオーストリア帝国時代から続いています。
その歴史は1718年からなので、およそ300年続いているわけです。
無論アンティークとしての価値もあるわけですが、
一番人気のあるウィンナー・ローズの柄は、
1924年から今なお製造されています。
そうなんです、
大半のアウガルテンのウィンナー・ローズはアンティークとは呼べないかもしれないのです。
とはいえ、
一つ一つ手作りのアウガルテンは、
数年前まで製造されていたデザインが突然販売されなくなったり、
一度だけお目見えした陶器が二度と作られることがなくなってしまったり、
大量生産とは違った一面がある分アンティークとしての価値はあると思います。
(個人的な感想です。10~20年前の陶器がアンティークとは呼べないというのは確かです。ヴィンテージにもなれない…)
ではそもそもアンティークって何なのか
アンティークショップを営んでいると、
アンティークとセカンドハンド(中古)の境目が曖昧になることが多々あります。
オーストリアにはアンティークはこれ!といった明確なルールはなく、
年代物の家具や雑貨などにアート的な価値がプラスされているものがアンティークとして扱われています。
アメリカでは厳格なルールが設けられていて、
(アメリカ通商関税法とWTOで採用されています。)
アンティークは100年を超えた工芸品や美術品に限られ、
その他100年に満たない物はジャンク、ヴィンテージ、ラビッシュと分類分けされていきます。
アメリカのルールに従うと、
アウガルテンのウィンナー・ローズは、初期のものでもアンティークではないことになります。
(2016年12月現在)
これはちょっと納得がいきません。
なぜ納得がいかないのかというと、
アメリカのルールに従ってしまうと、
アールデコ、バウハウス、インダストリアル、シュルレアリスムのダリまで、
全部アンティークではなくなることになります。
アウガルテンのウィンナー・ローズは手作りで、
陶器の美しさは芸術の域です。
私個人的な見解としては、
手作りのアートで数年経過されているものはアンティークとしての価値を持ってもいいのではないかなと思うのです。
(通関ではじかれますけどね。泣)
アウガルテンはアンティークと一緒に楽しめる陶器
厳格にはアンティークとは言えなくなってしまったアウガルテンのウィンナー・ローズ。
ただ、この可憐な美しさは何百年経過したアンティーク家具とも引けを取りません。
ウィンナー・ローズのデザインは1924年当時の主流スタイルのビーダーマイヤー様式です。
ビーダーマイヤー様式の家具とは無論合いますし、
アール・ヌーヴォーや歴史主義時代などとも楽しめます。
細かい基準は片隅に置いておいて、
アートの美しさが味わえる陶器が身近にあることを楽しんでみませんか?
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