アンティーク様式についての第二弾
前回のアール・デコの記事に引き続き、
今回はアール・ヌーヴォーの記事を書きたいと思います。
アール・ヌーヴォーはとても人気があるスタイルで、
色々な作家が色々なアール・ヌーヴォースタイルを生み出したので、
ブログに書くのはかなり緊張します…
上手くまとめられるのか不安で仕方ないです。
アール・ヌーヴォーの歴史やスタイルを簡単にまとめるので、
アール・ヌーヴォーが何なのか知りたい方はどうぞご覧ください。
世界中に根強いファンを持つアール・ヌーヴォー
現在でも高い人気と根強いファンを持つアール・ヌーヴォーは、
アール・ヌーヴォー期以前のベースが同じ様式の繰り返しを、
ルネサンス以降初めて打破したアートスタイルです。
そんな当時画期的とも言える、全く新しいスタイルのアール・ヌーヴォーは、
1880年代のイギリスで始まったアーツ・アンド・クラフツ運動が起源と言われています。
それまでの大量生産型のヴィクトリアスタイルからの脱却、
より生活に密着し、尚且つ芸術性の高い物を生み出そうとした運動です。
イギリスからフランス、ドイツ、オーストリアなどヨーロッパ各国に広がり、
現在ではアール・ヌーヴォーとして世界中に知られることとなりました。
美しいアール・ヌーヴォーの建築物を多く残すベルギーでは、
建築とアール・ヌーヴォーを融合させた最初の建築であるブリュッセルのタッセル邸を起源として、
ヨーロッパ各国にアール・ヌーヴォーの建築を広めることとなりました。
一番有名なフランスのアール・ヌーヴォーは、
サミュエル・ビングが1895年に開いた画廊をきっかけに、
1900年のパリ万博で世界中にアール・ヌーヴォーの名を轟かせることとなります。
ドイツではユーゲントシュテルという名で広まっていきました。
ミュンヘンで1896年から出版されたDie Jugend という美術誌が起源となり、
ドイツ語圏ではユーゲントシュテルという名前(ユーゲントスタイル、青春様式)で広まることとなります。
また、1892年に結成されたミュンヘン分離派は、
後のベルリン分離派やウィーン分離派に先駆けてユーゲントシュテルを世の中に広めていきました。
オーストリアでは1897年に設立したウィーン分離派が起源となり、
ユーゲントシュテルの作品を輩出していきました。
その後ウィーン分離派のヨーゼフ・ホフマンらが中心となりウィーン工房を設立、
ヨーロッパ・アメリカを中心にユーゲントシュテルを広めることとなりました。
その他ヨーロッパ各国で様々な形でアール・ヌーヴォーは広まりましたが、
1つのブログにはまとめられません…
主要なもののみで失礼します。
アール・ヌーヴォーの特徴
さて、ヨーロッパ各国で様々な広がりを見せたアール・ヌーヴォーですが、
特徴は各国若干の違いはあるものの、共通点があります。
アール・ヌーヴォーの起源は実は日本の葛飾北斎や歌川広重の浮世絵が影響を与えたという説があります。
アール・ヌーヴォー期以前からジャポニズム(ジャポネズリー)という、
今までヨーロッパになかったアートの技法や色彩、表現が使われるようになりました。
ジャポニズムの流行と新しいアートの追求が、
アール・ヌーヴォーを生み出したということになります。
これを知って、私は今一度浮世絵を見直してみたくなりました。
自然界モチーフや繊細な曲線、必ずしもシンメトリーではない自由なデザインがアール・ヌーヴォーの特徴です。
よくよく考えると、
葛飾北斎の浮世絵の繊細な曲線とカラフルな色使いが、
アール・ヌーヴォーに近い物がありますね。
イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動発ではなく、
日本発のアール・ヌーヴォーと考えると、アートスタイルの面では説明が付きやすいかもしれませんね。
これから写真を用いてアール・ヌーヴォースタイルの詳細をいくつかご紹介します。
自然界のモチーフ
まずはアール・ヌーヴォーとは切っても切れない自然界のモチーフについてです。
アール・ヌーヴォーの、
特にガラス製品や絵画などを見ると必ずと言っていいほど自然界のモチーフが使用されています。

こちらの花瓶は、
アール・ヌーヴォーを代表するアーティスト、ルグラの花瓶です。
鮮やかな色使いに、
美しい自然が描かれた、
とてもアール・ヌーヴォーらしい作品です。

こちらの照明は、
作者不明ですが、吊り下げ部分の金属が蔦になっているところが、
特にフランスのアール・ヌーヴォーを思わせるデザインです。
この様に絵画だけでなく、
インテリアから生活雑貨、衣服に至るまで、
アール・ヌーヴォーでは自然界のモチーフを大切に取り扱っています。
ガラスや金属との融合
アール・ヌーヴォーのもう一つの特徴として、
今までのアートスタイルでは見られなかった異素材を使用しているということがあげられます。
アール・ヌーヴォー以前のアンティーク家具というと、
どんな木材を使ったかという違いくらいで、
素材的には木材という基本を出ることはありませんでした。
アール・ヌーヴォーでは、
インテリアはこの素材で作らなくてはいけないという概念もなくなります。
家具に金属やガラス、陶器などを装飾として用い、
時に銀や宝石など高価な材料も多く用いられるようになりました。

特に写真のようなガラスの作品は、
アール・ヌーヴォーでは代表的なものがとても多いのが特徴です。
写真のデスクランプはフランスのミューラーのものです。
フランスのアール・ヌーヴォーのガラス製品は特に人気のある作品がたくさんあります。
オーストリアのアール・ヌーヴォーのガラス作品もご紹介したかったのですが、
フランス程多くの工房がなかったこと、
量産されなかったことから、
全く手に入らない若しくは高すぎて手が出せません。。
いつか手に入れられることを祈って…
アール・ヌーヴォーの代表作家と作品
さて、アール・ヌーヴォーの歴史や特徴だけでもかなりの量だったのですが、
これからアール・ヌーヴォーの代表作家と作品を紹介したいと思います。
…たくさんいるので3か国のみ各国1人に絞りますね。
フランスの作家と作品
フランスで活躍した最も有名なアール・ヌーヴォーアーティストといえば、
もちろんアルフォンス・ミュシャでしょう。
アルフォンス・ミュシャは基本的にはポスターなどの絵画で有名ですが、
パリのカルナヴァレ博物館の内装などもデザインしています。
でもやはり一番有名なのは、王道12宮でしょうか。
オーストリアの作家と作品
フランスのアール・ヌーヴォーとは少し異なるスタイルを持つオーストリアのアール・ヌーヴォーは、
ウィーン分離派の中心メンバー、ヨーゼフ・ホフマンが有名なアーティストではないでしょうか。
ヨーゼフ・ホフマンは、
建築からインテリアまで幅広くデザインしてきました。
特にベルギー ブリュッセルのストックレー邸は世界遺産にも登録されている建築物です。
アメリカの作家と作品
アメリカでもアール・ヌーヴォーは大流行しました。
特に、ティファニーは多くのアール・ヌーヴォー作品を残しています。
しかし、
ジェームズ・マクニール・ホイッスラーが1876年~1877年にデザインしたピーコックルームは、
アール・ヌーヴォーの先駆け的存在として知られています。
華やかなアール・ヌーヴォー
アール・ヌーヴォーの世界はいかがでしたでしょうか。
言葉だけでは全然魅力を伝えきれないのが残念です。
アール・ヌーヴォーはヨーロッパのみならず、
日本、アメリカ、その他各国が様々なスタイルを持っています。
それぞれの特徴を知るとよりアール・ヌーヴォーの世界が興味深い物になっていきます。
アール・ヌーヴォーは、
ブログの1記事にまとめられるほど簡単なアートスタイルではありません。
是非アール・ヌーヴォーの魅力をもっと掘り下げてみてくださいね。
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