ヒストリスムスについて

アンティーク様式についての記事の第三弾

 

前回のアール・ヌーヴォーの記事 に続きまして、

今回も歴史をさかのぼる形式でアール・ヌーヴォーの次、

ヒストリスムスについてご紹介したいと思います。

 

ヒストリスムスという名前は日本ではあまり馴染みのないものだと思います。

 

オーストリアやドイツではかなり有名なアンティーク様式ですので、

これを機に是非ヒストリスムスについての知識を加えてみてくださいね。

 

アール・ヌーヴォー前の古典主義リバイバル

 

アンティークの歴史上で、

リバイバルという以前流行した様式の再流行ということが頻繁に起きるのですが、

ヒストリスムスもまさしくその一つで、

過去流行した古典的な様式の再流行がヒストリスムスです。

 

ヒストリスムスの時代が1850年頃から1910年頃にかけてと、

比較的近代に起こったリバイバル現象だったため、

現代でも多くの家具や建築物でヒストリスムスを見ることが出来ます。

 

 

ではヒストリスムスの家具や建築物とはいったいどのようなものなのか?

 

次項で詳細に述べていきたいと思います。

 

ヒストリスムスの特徴

 

ヒストリスムスの特徴は、

過去のアンティークスタイルと現代のスタイル(19世紀頃を指します)の融合や、

過去のアンティークスタイルの融合です。

 

 

ヒストリスムスは主にオーストリアやドイツで流行したスタイルで、

イギリスでは同時期に後期ヴィクトリアが流行していました。

 

2つに共通して言えることは、

産業革命後に中流階級もインテリアを楽しむようになったこと、

機械で大量生産が可能になったこと、

以上が合わさって、

過去の上流階級のみのスタイルが大衆に広まったデザインであると言えます。

 

比較的若く、他のアンティークスタイルに比べ多くの家具が出回ったことから、

現代でも手に入れやすいアンティークの一つです。

 

 

ヒストリスムスはこれ、といった独自のスタイルがあるわけではありません。

どのようなスタイルとの融合なのかをこれから説明していきたいと思います。

 

ロマネスクやゴシックなどのルネサンス前のリバイバル

ヒストリスムスのリバイバルは、

アンティークスタイルの初期、ロマネスクやルネサンスも含みます。

 

初期のアンティークスタイルはヒストリスムスでも早くリバイバルしました。

 

ロマネスクやゴシックのリバイバルは、

主にお城や政府関係の建物で多く見られます。

 

オーストリアやドイツの公共機関の建物で、

現在でもたくさんのヒストリスムス期のロマネスク、ゴシックスタイルを見ることが出来ます。

 

ネオ・ルネサンス

ルネサンスのリバイバルであるネオ・ルネサンスも、

ヒストリスムスでは欠かせないスタイルです。

 

ネオ・ルネサンスはウィーン国立歌劇場などのオペラハウスや美術館でよく用いられた様式です。

 

ヨーロッパで始まったリバイバルの流行は当時の日本にも波及し、

京都市の中京郵便局はネオ・ルネサンスの代表的建築物です。

 

ネオ・バロック

1900年前後になるとバロック様式のリバイバルも始まります。

 

豪華で重厚なイメージのバロックなので、

ネオ・バロックは宮殿や劇場などで多く用いられたスタイルです。

 

パリのオペラ座などはネオ・バロックを代表する建築物です。

 

ネオ・ロココ

元々サロンのスタイルだったロココは、

ヒストリスムスでもインテリアなどの内装や絵画でリバイバルしました。

 

フランスで始まったロココは、

もちろんフランスでもほぼ同時期にリバイバルが置きましたが、

ヒストリスムスとは別の名前なので後日詳細にご紹介します。

 

オーストリアのロココリバイバルは、

家具などのインテリアにもみられるのですが、主に絵画で再興しています。

 

インテリアは初期ロココに比べシンプルで日常使いしやすい物が多いのが特徴です。

 

 

他にも色々なスタイルがヒストリスムス期にリバイバルしたのですが、

書ききれないので代表的な物のみ記載しました。

ヒストリスムス

ちなみに…

この写真のサイドテーブルはヒストリスムスのものです。

 

一言で言えば使いやすそうです。

(実際使いやすいです。)

 

繊細さや豪華さにはやや劣る部分がありますが、

日常使いの家具としては優れたスタイルといえます。

 

ヒストリスムスの代表作

 

最後にヒストリスムスの代表作をいくつかご紹介したいと思います。

 

アーティストだとあまり馴染みがないかもしれませんので、

代表的な建築物をご紹介します。

 

(フランスやイギリスの建築物は別記するので、オーストリア、ドイツ、スイスなどの建築物をご紹介します。)

 

オーストリアの代表的建築物

  • ウィーン国立歌劇場(ネオ・ルネサンス)
  • ウィーン美術史美術館(ネオ・ルネサンス)
  • グラーツ・オペラハウス(ネオ・バロック)
  • ヴォティーフ教会(ネオ・ゴシック)
  • グスタフ・アドルフ教会(ネオ・ロマネスク)

ドイツの代表的建築物

  • ベルリン大聖堂(ネオ・ルネサンス、ネオ・バロック)
  • フランクフルト 旧オペラ座(ネオ・ルネサンス)
  • ハンブルク市庁舎(ネオ・ルネサンス)
  • ノイシュバンシュタイン城(ネオ・ロマネスク)
  • シュヴェリーン城(ネオ・ロマネスク)

スイスと日本の代表的建築物

  • チューリッヒ中央駅(ネオ・ルネサンス)
  • ベルン連邦院
  • シュタッドハウス、ウィンタートゥール
  • 法務省旧本館(ネオ・バロック)
  • 赤坂離宮(ネオ・バロック)
  • 東京駅(ネオ・ゴシック)

ルネサンス以降繰り返されるリバイバルの一つ、ヒストリスムス

 

ヒストリスムスは、

ルネサンス以降何度か繰り返し起きたリバイバルの一つです。

 

オリジナルとはまた少し違う、

リバイバルの良いところも悪いところも色々見られる、

比較的面白いアンティーク様式です。

 

特にヒストリスムスはそんなに古くない年代で、

更に産業革命後に起きたリバイバルなので、

他のアンティークスタイルに比べて比較的価格も安く手に入れやすいアンティークスタイルです。

 

古典的なアンティーク様式がお好みなら、

ヒストリスムスから入るのも手かもしれません。

 

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