フランスのセカンドエンパイアについて

アンティーク様式についての第四弾、フランス!

 

アール・ヌーヴォー前までは、

オーストリア(ドイツ)とフランス、イギリスで、

似たようなスタイルの流行ではあるものの、

名称が異なることが多々ある為、

今回はフランスの一時期のアンティーク様式をご紹介します。

 

セカンドエンパイア、

日本語では第二帝政期と呼ばれる19世紀後半に流行したスタイルで、

産業革命の影響が強くみられるアンティーク様式です。

 

ヒストリスムスと近いセカンドエンパイア

 

前回の記事でご紹介したヒストリスムス と今回のセカンドエンパイア、

流行した年代がほぼ同じということもあり、

スタイルはほとんど一緒です。

 

ヒストリスムスの方がやや実用的なインテリアが多いのに対して、

セカンドエンパイアの方がロココ調の色合いが強い程度で、

ヒストリスムス同様、

過去のアンティークスタイルのリバイバルという前提は全く同じです。

 

別名ナポレオン三世スタイルとも呼ばれるこのスタイルは、

ナポレオン三世の特に好んだルイ16世スタイルを中心としたリバイバルです。

 

ナポレオン三世が行ったパリ改造計画などの影響により、

パリの町並みの一部にはセカンドエンパイアの影響が色濃く残っています。

 

セカンドエンパイアの特徴

 

ヒストリスムスで19世紀後半から20世紀初頭のリバイバルの特徴については書いたのですが、

フランスのセカンドエンパイアというリバイバルのみに注視して、

フランスらしいリバイバルを取り上げていきたいと思います。

 

ナポレオン三世の影響が非常に強いスタイルです。

 

建物はネオ・バロックやネオ・ルネサンスなど

まず、この期間の建築物からご紹介していきます。

 

やはり、セカンドエンパイア期に建築された建物の多くは、

ネオ・ゴシックやネオ・バロック、ネオ・ルネサンスなどの古典的なスタイルが好まれていました。

 

パリのガルニエ宮はセカンドエンパイア期のネオ・バロック様式の代表的建築物です。

 

ナポレオン三世の影響も強く、

ルイ16世様式で作られた町並みがパリのオスマン通りです。

 

 

フランスの他にも、

北米にセカンドエンパイアの影響を受けた建築物がたくさん見られるのも特徴です。

 

フランスのセカンドエンパイアを真似たというよりも、

セカンドエンパイアの時期にフランスのバロック様式のリバイバルが起きたという方が正確かもしれません。

 

 

ヒストリスムスと比較すると、

セカンドエンパイアはルネサンス以降のアンティークスタイルのリバイバルの方がより多い印象です。

 

インテリアはネオ・ロココなど

セカンドエンパイア期のインテリアは、

ロココやルイ16世様式のリバイバルです。

 

ですので、見た目がとても鮮やかで豪華な印象の強い家具がたくさんあります。

 

ロココやルイ16世様式のような繊細さはあまりなく、

使いやすくて心地の良い家具を多く制作した時期でもあります。

 

この点もヒストリスムスと同じです。

 

中流階級の人々がインテリアに注目したことによる、

インテリアの普及の上でユーザーフレンドリーになっていった結果です。

 

また、当時のロココやルイ16世様式に比べ安価な材料で作られているのも特徴です。

安く使いやすい家具なら色々な人の手に渡っていきますからね。

 

 

また、セカンドエンパイア期の家具のもう一つの特徴として椅子があります。

 

ルイ・フィリップ期(セカンドエンパイアの一つ前の様式です。)から見られるようになったデザインですが、

タブ・チェアーと呼ばれる椅子の座面のみだけではなく、

背面から脚の部分までクッション地で覆われたスタイルの椅子が誕生します。

(脚の部分はフリンジで隠されている場合もあります。)

 

タブ・チェアーから派生して、

カンバセーション・ベンチと呼ばれる、

座面が2つ対極についていてアームを共有する形のベンチなど、

省スペースのカウチが誕生します。

(2人かそれ以上の人数が座れ、別の方向を向いて横並びになる形のカウチです。)

 

 

この椅子のデザインからもくみ取れるように、

心地よく使い勝手のいいデザインがセカンドエンパイアには多いのが特徴です。

 

セカンドエンパイアの代表作

 

最後にセカンドエンパイアの代表的な建築物をご紹介します。

 

基本的にはフランスセカンドエンパイアをご紹介したので、

フランスの建物のご紹介ですが、

北米でかなりたくさん見られる建築物でもあるので、

北米の物もいくつかご紹介します。

 

フランスの建築物

  • ガルニエ宮(オペラ座)(ネオ・バロック)
  • ルーヴル宮殿の一部(ネオ・バロック)
  • オスマン通り(ルイ16世)
  • エリゼ宮殿
  • ピカルディー美術館

北米、その他の建築物

  • アイゼンハワー行政府ビル ワシントンDC
  • フィラデルフィア市庁舎 フィラデルフィア
  • 旧市庁舎 ボストン
  • モントリオール市庁舎 モントリオール
  • 連邦政府ランジュバン棟 オタワ
  • ブリュッセル証券取引所 ブリュッセル

リバイバルが本当に多かったこの時期

 

セカンドエンパイアについて、

ほとんどヒストリスムスとの比較となってしまいましたが、

本当にこの時期は古典的なスタイルのリバイバルが世界各国で巻き起こっていました。

 

世界各国の流行が似通ってはいるものの、

国によってそれぞれ少しずつ違う印象があるのが面白いです。

 

今回のフランスのセカンドエンパイアは、

フランスらしい、優雅な雰囲気が多いような気がします。

 

この時期のもう一つの特徴、

イギリスの後期ビクトリアも後日ご紹介します。

 

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