フランスのレストレーションとルイ・フィリップ様式

アンティーク様式についての第七弾、ルイ・フィリップ様式

 

前回のビーダーマイヤー様式が19世紀中期頃のオーストリアやドイツの流行だったとすると、

同時期のフランスではレストレーションとルイ・フィリップ様式が流行していました。

 

今回はレストレーションとルイ・フィリップと、

2つのアンティーク様式をご紹介します。

 

この2つは名前こそ異なるものの、

レストレーションはルイ・フィリップに至るまでの過程の期間で、

この2つをまとめてレストレーションと呼ぶこともある為一緒にご紹介したいと思います。

 

基本的な流れはビーダーマイヤー様式と同じで、

中流階級向けのインテリアということになります。

 

 

ただ、その中でもやはりフランスらしさというものが強く感じられます。

 

特にオーストリアとフランスを比較すると、

その国の特色がよくわかり非常に面白いのです。

 

フランスらしさを残したルイ・フィリップ様式

 

さて、レストレーションとルイ・フィリップ様式ですが、

レストレーション期が1815年~1830年頃、

ルイ・フィリップ期が1830年~1852年頃までと、

やはりここでも産業革命やフランス革命の影響が強く表れる期間に流行したスタイルです。

 

中流階級が中心となったスタイルですので、

ビーダーマイヤー様式と同様に使いやすくシンプルなインテリアが多いのがルイ・フィリップ様式です。

 

レストレーション様式は移行期なのでルイ・フィリップ様式と比べると豪華な雰囲気が残っていますが、

それ以前のエンパイヤ様式などのスタイルに比べるとやはり簡素な雰囲気になってきています。

 

 

では、レストレーション様式やルイ・フィリップ様式にはどのような特徴があるのか、

次の章で詳しく見ていきたいと思います。

 

ルイ・フィリップ様式の特徴

 

レストレーション様式とルイ・フィリップ様式の最大の特徴は、

やはり使いやすさ、扱いやすさが考慮されたシンプルさではないでしょうか。

 

主にエンパイヤ様式のデザインを残したまま、

快適さを求められ進化したレストレーション様式、

レストレーション様式から真鍮の飾り等の過度な装飾を排除し、

且つ中流階級の憧れだったロココスタイルのリバイバルの要素を取り入れたルイ・フィリップ様式…

 

少しずつ中流階級の日常生活に密着した家具が誕生していった時期です。

 

シンプル、不要な飾りはつけない

レストレーション様式から徐々に失われていった装飾は、

ルイ・フィリップ様式ではほとんど無くなってしまいます。

 

装飾というのは、

木材ベースの家具に真鍮などの飾り(取っ手や鍵部分以外の装飾を指します)や、

貝などの異素材の飾り、

木材のパターンなど使用していく上では不要な装飾を指します。

 

この装飾が年代を追うごとに無くなっていき、

ルイ・フィリップ期には木材のシンプルなカーブのデザイン以外ほぼ飾り気のないインテリアへと進化していきました。

(これを退化と呼ぶ場合もあります。好みの問題でしょうか…)

 

このシンプルなデザインへの移行の過程には、

やはり広く一般に広まったデザインであることと、

マスプロダクト化していった経緯があります。

 

ただ、そんな中でも、

ルイ・フィリップ様式はロココ様式のリバイバルと言われるだけあり、

椅子やソファ、テーブルの脚の外側に広がった新しい曲線のデザイン、

コンソールやテーブルの表面が大理石で覆われている等、

フランスらしい細かな美しさが垣間見えます。

 

木材へのこだわり

シンプルなデザインだからこそ、

レストレーション様式やルイ・フィリップ様式では材質、

特に木材へのこだわりが強くうかがえました。

 

レストレーション様式では主に、

高級木材であるマホガニーやローズウッドに加え、

エルムやメープル、アカシアなどフランスで手に入りやすい木材も使用されていきました。

 

ルイ・フィリップ様式では主に、

マホガニーやローズウッド、クルミの様な高級木材が使われ、

リビングなどの暖かい色のインテリアにはチェリーなどが使われました。

 

レストレーション様式はややデザインへのこだわりが残っていたとしたら、

ルイ・フィリップ様式は素材を活かしたインテリアが多く作られたということになります。

 

 

ルイ・フィリップ様式は現代でもフランスではとてもよく見かけるアンティークスタイルです。

 

ビーダーマイヤー様式と比較するともう少し古典的な雰囲気があるので、

バロックなどの古典アンティーク好きな方でも受け入れやすく、

また比較的手軽に手に入れることが出来るアンティークかと思います。

 

ルイ・フィリップ様式は扱いやすくて美しい

 

ルイ・フィリップ様式の色々な特徴を簡単にまとめてみました。

 

重厚でシンプルで且つ美しいルイ・フィリップ様式、

フランスアンティークの家具やインテリアを初めて購入する場合、

おすすめしたいスタイルの一つです。

 

若干大きくて重いデザインが多いので家具の移動は大変ですが、

存在感はずば抜けています。

 

個人的なおすすめは、

チェストかセクレタリーという書棚にデスクが隠れた棚が、

ルイ・フィリップ様式の木材へのこだわりが一番感じられて美しいと思っています。

 

是非ルイ・フィリップ様式でインテリアの格上げに挑戦してみてください!

 

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