アンティーク様式についての第八弾、リージェンシー様式
今回はイギリスのリージェンシー様式について見ていきたいと思います。
リージェンシー様式は、
1790~1830年頃までイギリスで流行したスタイルです。
同時期(後半)のヨーロッパ本土では、
オーストリアはビーダーマイヤー様式、フランスはルイ・フィリップ様式と、
中流階級向けのシンプルなインテリアが流行していました。
しかしイギリスはこの2つのスタイルと比較するのは間違いで、
どちらかというとその前に流行した新古典主義に強く影響を受けたスタイルです。
(新古典主義については次回お話したいと思います。)
この新古典主義というのが古典様式のリバイバルなので、
そうです、
またリバイバルです。
でもヒストリスムスとはまた異なり、
もう少し古い古代ローマやエジプトなどのスタイルのリバイバルでした。
ローマやギリシャ、エジプト古典の再興
リージェンシー様式はまさに新古典主義の考え方と同じで、
ロココなどの甘美な貴族的スタイルと反した、
重厚で直線的、シンメトリーなスタイルが主流となっていきました。
アンティーク様式によく見られるリバイバルがここでも発生していて、
それまでの流行に反する考えというものは常に生まれるようです。
ここではどちらかと言うと、
ルネサンス以前の、
アンティーク様式とかそういう枠を飛び越えるくらい前のスタイルが復活しました。
というのも、
当時の遺跡発掘の影響が強かったようで、
発掘された古代遺跡のイメージが強くインテリアにも影響を与えています。
リージェンシー様式の特徴
リージェンシー様式の特徴は、
前述した通り古代ローマやギリシャ、エジプトのイメージです。
ここでイメージと言ったのは、
遺跡はあくまでも遺跡で設計図などが残っているわけでもなかったので、
要するに当時のアーティストがインスピレーションを受けてコピーしたものでした。
古代ローマなどでこのような家具が実際に使われていたかどうかは不明です。
古代ローマなどのイメージの他にも、
中国などのオリエンタルなデザインも見られるようになりました。
ここからもう少し詳細にリージェンシー様式の特徴を見ていきたいと思います。
古代遺跡のイメージ
リージェンシー様式の最大の特徴と言えば、
古代ローマやギリシャ、エジプトのモチーフがインテリアに多く使用されていることです。
建築物や彫刻でこの古代遺跡のイメージは顕著に見られるデザインなのですが、
家具やインテリアでもその影響がよく表れています。
スフィンクスやライオン、翼のモチーフ、
古代ローマやギリシャのシンメトリーな神殿のイメージなど、
上手く家具に取り入れているのがリージェンシー様式です。
色合いもゴールドの真鍮や大理石、
ソファなどに使用される布地にも金彩など、
豪華な印象が強いスタイルです。
オリエンタルモチーフ
古代遺跡のイメージのみならず、
当時貿易が盛んだった中国やインドなどのオリエンタルモチーフも登場するのがリージェンシー様式です。
特に中国のデザインをイメージした家具は多く作られたようで、
漆塗りや竹を用いた椅子、
龍などのアジア独特のモチーフなども使用されています。
日本をイメージした家具もあるようなのですが、
中国とミックスされて個人的にはよくわかりませんでした…
この様に、
ロココまでのスタイルとはやや異なる印象の強いリージェンシー様式、
木材も色々な物が使われました。
マホガニーはリージェンシー様式でも多く使われましたが、
その他にもローズウッドやゼブラウッド、黒檀など、
エキゾチックな木材が多く使われています。
オリエンタルな雰囲気の家具と相まって、
リージェンシー様式以前のヨーロッパの上流階級っぽいイメージからやや離れた印象になります。
リージェンシー様式は個性的な新古典主義
イギリスのリージェンシー様式以外にも、
フランスやオーストリアでも新古典主義は同じような時期に広まりました。
フランスのエンパイア様式が新古典主義の代表的スタイルなので、
リージェンシー様式は代表的とは言えませんが、
イギリスらしい個性的なアンティーク様式と言えます。
次回ご紹介するエンパイア様式などの古代ローマの様な古典的なスタイルをお好みの方には、
リージェンシー様式も是非一度試していただきたいアンティーク様式です。
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