エンパイア様式(帝政様式、アンピール様式)について

アンティーク様式第九弾、エンパイア様式について

 

前回のイギリス リージェンシー様式が前置きだったとしたら、

今回のフランスのエンパイア様式が本稿です。

 

フランス、と国を限定しましたが、

このエンパイア様式はオーストリアやドイツにも広まりました。

 

(ウィーン新古典主義という独特な流れも出たそうなのですが限定的なので触れません)

 

ですので今回はフランスとオーストリアひとまとめです。

 

まぁ、エンパイア様式なんてフランス発フランス大流行スタイルなので、

お話に上がってくるのはフランスのことばかりになるんですけどね。

 

 

イギリス リージェンシー様式が新古典主義という考えの一環であることは前回述べた通りで、

今回のエンパイア様式も新古典主義の一環です。

 

エンパイア様式は新古典主義の代表的スタイルと言えます。

 

フランスのエンパイア様式、新古典主義の代表

 

新古典主義は18世紀後半から19世紀中期に渡って流行した思想で、

18世紀中期までのロココなど曲線的で貴族的な芸術に反対し、

もっとちゃんとしっかりした芸術作品を古代から学びましょうよ!

という考えがこの時期湧きあがりました。

 

エンパイア様式の前にもディレクトワール様式などいくつかの新古典主義のスタイルが生まれましたが、

エンパイア様式はナポレオンの登場で新古典主義が大成されたスタイルと言えます。

 

ナポレオンのエジプト遠征の影響などが色濃く反映されているエンパイア様式は、

エンパイアという名前の通り、

スタイリッシュで重厚、厳格な印象の中に華やかさを残した美しいアンティーク様式と言えるでしょう。

 

 

ではこれよりエンパイア様式の特徴を見ていきたいと思います。

 

エンパイア様式の特徴

 

前述したように、

エンパイア様式の基本思想は新古典主義で、

反ロココ、古代ローマやギリシャ、エジプトの芸術に影響を受けているスタイルです。

 

ですので、

アシンメトリーで曲線的なデザインは少なく、

シンメトリーで直線的、重厚で鮮やかなインテリアが多く作られました。

 

特にエンパイア様式では、

ナポレオンのエジプト遠征の影響が強く、

よりエジプトの要素が多く盛り込まれています。

 

古代ローマやエジプトのモチーフ

エンパイア様式の最大の特徴、

古代ローマやギリシャ、エジプトのモチーフは、

どのインテリアでも確認することが出来ます。

 

ピラミッドやスフィンクス、ライオンの脚に翼の生えた神話の動物など、

これらをインテリアに対称に飾りつけ、

時にナポレオンの「N」の文字が刻まれることもありました。

 

金メッキのブロンズ

この古代ローマやエジプトのモチーフは、

ただ単に木を彫刻しただけとか、

ペイントされただけとか、

そういった装飾ではありませんでした。

 

ブロンズに金メッキを施し、

彫刻の一部または全部に装飾を加えるという、

何とも贅沢な装飾がエンパイア様式ではたくさん見ることができます。

 

このブロンズの装飾も大まかな彫刻ではなく、

細部まで綺麗に作りこまれた美しい装飾ばかりです。

 

金メッキのブロンズの他にも大理石などの石や宝石類も装飾として使用されました。

 

機能性に優れる

これだけ飾り付ければ、

さすがにそれなりの使い心地の悪さが出てきそうなものですが、

エンパイア様式は機能性にも優れた、優秀なインテリアでした。

 

家具の一つ一つは大きいのですが、

直線的な椅子の背もたれや重いテーブルは安定感があり、

シンメトリーなデザインは扱いやすい物が多くあります。

 

 

このエンパイア様式で主に使用されていた素材ですが、

主にマホガニー、

その他に黒檀やローズウッドなどの高級木材で作られ、

先に述べたように、

ブロンズや大理石なども使用されていました。

 

かなり値の張るアンティークです。

 

エンパイア様式の代表作

 

エンパイア様式の時期には代表的な建築物がパリに多く見られます。

代表的な物は、

  • エトワール凱旋門(凱旋門)
  • カルーゼル凱旋門
  • 旧パリ証券取引所
  • マドレーヌ寺院

以上のように古代ローマやギリシャの様なスタイルの建築物が多くあります。

 

高価なアンティークを楽しみたいならエンパイア

 

エンパイア様式の家具やインテリアがお部屋にあると、

インテリアの格が数段上がるとても豪華なアンティークスタイルです。

 

一生モノのアンティークをお探しで、

素材も贅沢な物にこだわりたいのであれば、

エンパイア様式はおすすめしたいアンティーク様式の一つです。

 

金額は修復済みのものだと安めの車が買える金額くらいになりますが、

その美しさは価格以上の価値があるのではないでしょうか。

 

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