レアアンティーク、ヨセフィニッシュ

アンティーク様式第十弾、オーストリアのヨセフィニッシュ

 

今回は久々にオーストリアのアンティーク様式についてご紹介します。

 

フランス・イギリスに押され気味でなかなか表に出てこないオーストリアのアンティーク、

その中でも新古典主義という言葉で埋もれてしまうヨセフィニッシュについてご紹介します。

 

そもそもヨセフィニッシュというカタカナ表記でいいのか迷いました。

 

ドイツ語だとJosephinischとなり英語読みだとジョセフィニッシュなのですが、

本国オーストリアにならってドイツ語読みでヨセフィニッシュと言うことにしました。

 

おそらく日本のアンティークショップでヨセフィニッシュと言っても通じないかと思います。。

 

それくらい馴染みの薄い存在です。

(日本ではオーストリアの初期新古典主義と言えば大体同じ意味になります。)

 

 

さて、このヨセフィニッシュ、

何故こんなにも周知されていないのかというと、

18世紀中期頃のスタイルで相当古いことと、

期間も20~30年ほどでビーダーマイヤー様式に変わっていってしまい、このビーダーマイヤー様式がかなり普及してしまったので、

ヨセフィニッシュ押され気味です。。

 

更に新古典主義といえばフランスのエンパイア様式がとても有名で、

ここでもヨセフィニッシュ埋もれてしまっています。

 

オーストリアでも希少アンティーク

 

このレアアンティークであるヨセフィニッシュは、

オーストリアでもかなり稀な存在です。

 

だからあまり周知されてないんですよね。

 

オーストリアのアンティークショップや美術館ではもちろん周知されていますが、

実際お店で販売されているかというと微妙なところです。

 

現存している数が少ないので、

ウィーンなどの人口が多く、所得の多い層が多い地域では売られているかもしれませんが、

その他の地域では年に一度見れたらラッキーくらいのアンティークです。

 

価格も相当なものなので見るだけで充分です…

 

 

見ている分にはとても美しいヨセフィニッシュ、

余談が多かったのでそろそろ特徴をご紹介したいと思います。

 

ヨセフィニッシュの特徴

 

冒頭でもお話したように、

ヨセフィニッシュは新古典主義という考えが基本となっているアンティーク様式です。

 

古代ローマやギリシャのデザインと、バロックの要素が入った新古典主義で、

フランスのエンパイア様式やイギリスのリージェンシー様式と異なるのは古代エジプトやアジアの要素が薄いこと、

真鍮やブロンズなどの装飾があまり見られません。

 

時期が近いフランスやイギリスのスタイルよりも、

どちらかと言えばビーダーマイヤー様式の原型といったところでしょうか。

 

木材がピカピカに磨き上げられた、

素材重視のインテリアが特徴的なヨセフィニッシュです。

 

ビーダーマイヤー様式と少し似ているヨセフィニッシュですが、

ビーダーマイヤー様式には無い特徴がいくつかあります。

 

脚の形状

ヨセフィニッシュ最大の特徴が各インテリアの脚の形状です。

 

脚の部分が下に向かうほど細くなっていくのがヨセフィニッシュです。

 

下に向かうほど細くなる脚というのは逆円錐や逆四角錐というのでしょうか、

先細りしていく珍しい形状をしています。

 

椅子やコンソールなどの小型の家具ならわかるのですが、

チェストやタンスなどの大型家具にもこのような特徴が見られます。

 

これで重い物を入れても安定しているので、

当時の家具メーカーは相当計算していたのでしょう。

 

この脚の形状がヨセフィニッシュ最大の特徴といえます。

 

木材のパターン

フランスのエンパイア様式やイギリスのリージェンシー様式と異なり、

ヨセフィニッシュは真鍮やブロンズの装飾はほとんどなく、

代わりに木材でパターンを作っている家具がほとんどです。

 

木材のパターンというのは、

日本の伝統工芸で言う所の寄木細工のように、

異なる種類や色の木材で模様が描かれているということです。

 

こちらの写真がいい例なのですが、

このチェストの端に線状の模様があります。

 

これも寄木です。

 

このチェストはヨセフィニッシュではなく、

初期のビーダーマイヤーなのでかなりシンプルな模様ですが、

この様な模様があるのがヨセフィニッシュの特徴です。

 

(ちなみにこの写真の脚もちょっと先細りですね。

それでもビーダーマイヤー様式なのですが。。)

 


この他に、

ヨセフィニッシュ様式では主にマホガニーやチェリー、クルミの木などが使用されていました。

 

この高級木材にピカピカになるまでポリッシュをかけるのが印象的です。

 

ビーダーマイヤーも同じなのですが、

オーストリアやドイツのアンティーク家具はてかてかしています。

 

素材愛なのでしょうか。

 

見つけたらラッキーなヨセフィニッシュ

 

もしヨセフィニッシュの家具を探していて、

どこかのお店でたまたま発見して、

その家具が素敵だな、欲しいなと思ったらすぐに購入を検討してください。

 

それくらいあまり流通していないアンティークです。

 

価格もビーダーマイヤーと比べるとびっくりする価格ですが、

一生モノの家具として検討することをおすすめします。

 

…あまりアジア圏には出回らないので、

購入対象のアンティークというよりも、

ヨーロッパ旅行の際に博物館やお店で見てみて欲しい、

そんなアンティークです。

 

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