アンティーク様式についての第12弾、あのロココ
前回までの新古典主義からの脱却です。
今回は18世紀を代表するアンティーク様式、
あのロココ様式について触れてみたいと思います。
ロココ様式なんて紹介するまでもなく周知の存在かもしれません。
でもあえて書きます。
ふわっとしたロココのイメージを明確化してみたいと思います。
ロココは国別で考えるのが面倒なのでイギリス以外はまとめます
ロココ様式は1720年頃から1770年頃まで続いたスタイルです。
よくその前に流行したバロック様式と比較されることが多いロココ様式ですが、
バロックと似た要素も多いため後期バロックとも呼ばれています。
ロココ以降はフランスやオーストリア、イギリスなどの各国が、
それぞれ特徴を持って、それぞれの名称で様々なスタイルが生まれていきましたが、
ロココはフランスから始まり各国に普及していったのでヨーロッパ大陸の中で大きな違いは見られません。
イギリスだけ少し違う流れなので別記しますが、
フランスのロココを中心にひとまとめにして記載します。
フレンチ・ロココは別名当時の君主であるルイ15世の名前からルイ15世様式とも呼ばれ、
それまであまり触れられなかった内装部分に特に力を入れたスタイルです。
バロックが建築物や大型家具なら、
ロココは絵画や中~小型の家具を中心としたスタイルです。
外側がバロックで中身がロココ、という建物がたくさんあります。
このことからも後期バロックと呼ばれるのがよくわかります。
バロックからロココ、ルイ16世様式のこの流れは、
ヨーロッパの貴族階級の力の強さを表しているように思います。
特にロココ様式はとにかく豪華絢爛で輝かしいインテリアがたくさんあります。
ロココ様式がフレンチアンティーク様式の最高峰と考える人が多いようで、
その後何度もリバイバルされていきます。
ロココ様式の特徴
ではロココ様式とはどのようなスタイルを指すのか考えていきたいと思います。
ロココ様式でまず最初に思い浮かぶ特徴が曲線的であることです。
何が曲線的なのかと言えば、
ほとんど全部です。
他にも色使いや使用している素材など、
ロココ様式でしか見られない特徴がたくさんあります。
曲線的で繊細でお花畑のよう
ロココ様式の最も重要な特徴、
曲線的で細かい装飾がたくさん施されていてアシンメトリー、
この要素は他の古典的なアンティーク様式ではほとんど見ることが出来ません。
(リバイバルは除きます)
この繊細なくねくねした装飾は、
植物や花、リボン、動物などの自然モチーフがふんだんに用いられています。
遠目で見ても豪華ですし、
近くで見ると引き込まれそうな程精巧に作られているのがわかります。
この豪華な装飾だけでもロココの特徴が一目でわかります。
白くて金色でパステルカラーでお花畑のよう
ロココ様式のもう一つの特徴としてお姫様の様な色使いも挙げられます。
ロココ様式の基本カラーはパステルカラーです。
重苦しい黒や鮮やかな赤、緑、青などは避け、
ピンクや水色、薄い緑色やアイボリーなどの優しい色が主に使用されています。
この淡い色使いにプラスして白や金色で装飾していくと、
ロココの出来上がりです。
お姫様のイメージってロココが起源なんだろうなと改めて思い知らされる色使いです。
絵画的要素も家具に取り入れてお花畑が家具に
上記2点の曲線的でパステルカラーという特徴だけでもう充分にロココなのですが、
ロココ様式がより豪華で華やかになる為にもう一点特徴を追加したいと思います。
ロココ様式の家具には絵画も取り入れてしまったものがたくさんあります。
例えばチェストやカップボードなどの大型家具にはスペースがたくさんあるので、
装飾で埋まらかなった所に絵画として成り立つペイントが施されたりします。
壁などの内装ならわかる気もするのですが、
家具の一つ一つにまで描かれた絵画は、それはもう圧巻です。
その他に鏡や大理石なども使用され、
眩しいほどに豪華なインテリアが生まれていったのがロココ様式です。
ちなみに木材ですが、
ロココ様式の家具では主にローズウッドやクルミ、オーク材などが使用されていました。
ロココ様式の代表作
ロココ様式の頃の建築物やインテリアは、
本当に美しい物がたくさん残っています。
下記にロココ様式の代表的建築物とその他の芸術作品をご紹介したいと思います。
ロココ様式の代表的建築物
- シェーンブルン宮殿(オーストリア)
- エカテリーナ宮殿(ロシア)
- ヴェルサイユ宮殿内 プチ・トリアノン(フランス)
- シャルロッテンブルク宮殿(ドイツ)
- ケルス宮殿(ポルトガル)
ロココ様式のアーティスト等
- マイセン(ドイツ、陶磁器)
- ロイヤルコペンハーゲン(デンマーク、陶磁器)
- モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール(フランス、ポンパドゥール夫人の肖像画作者)
- ジャン・シメオン・シャルダン(フランス、食前の祈り作者)
- モーツァルト(オーストリア、音楽家)
ロココに魅入られてしまうと抜け出せない
有名過ぎるアンティーク様式、
ロココ様式は本当に色んな意味ですごい様式です。
いつの時代も、
数百年にわたって人々を魅了し続け、
現代もなお根強いファンがいるロココ様式、
一度虜になったら抜け出せない魅力があります。
バロックからロココへの過程の中で、
フランスではレジエンス様式というスタイルも生まれたのですが、
これはバロック中期と考えてバロック内に押し込みたいと思います。
バロックもロココもレジエンスも、
美しくて芸術的な作品が多くてうっとりしてしまうのですが、
いざこれらを家具として家に迎え入れよう!と個人的に思えないのです。
凄い繊細なんですよ。
掃除したらしただけ何かが欠けていくような、
そんな儚さが、特にロココ様式でよく見られます。
ロココ様式はとにかく年代が古いので希少です。
更に繊細過ぎるので修復可能な状態で残っている家具もレアです。
とても高価なので家宝として迎え入れることをお勧めします。
Kommentar schreiben