アンティーク様式について第13弾、イギリスのジョージアン様式
このジョージアン様式、
書き始めるのに相当な覚悟が必要でした。。
ひたすら長く続いてたアンティーク様式なのです。
この長さ一つにまとまるのか?
…もう直感で書くことに決めました。
ジョージアン様式、
1714年にイギリスの国王となったジョージ1世からジョージ3世までの期間に流行したスタイルがこれにあたります。
ジョージ4世もいらっしゃったんですが、
ジョージ4世の頃はリージェンシー様式と呼ぶ方が一般的なのでここでは外しておきます。
ジョージ1世から3世までのスタイルは、
前期ジョージアン様式(1世)
中期ジョージアン様式(2世)
後期ジョージアン様式(3世)
と綺麗に振り分けることが出来ます。
ジョージアン様式と一つにまとめてしまいましたが、
前期と後期だと根本的に違うスタイルなので別々にした方が良かったかもしれません。
100年くらい続いたジョージアン様式
上記の通りジョージアン様式は100年近く続いた長い長いアンティーク様式です。
(4世も含めたら100年越えですね。)
この長さなのでもちろん初期と最後では全く異なります。
前期ジョージアン様式は古典様式、
中期ジョージアン様式はロココ様式、
後期ジョージアン様式は新古典主義と、
全然異なる基本思想でデザインされています。
ただ、前期ジョージアン様式以外はフランスからの影響をもろに受けているので、
特別な説明はいらないかなとも思います。
それではジョージアン様式はどんな特徴があるのか見ていきたいと思います。
ジョージアン様式の特徴
先述した通り、
ジョージアン様式には前期・中期・後期と分かれていて、
それぞれがそれぞれの特徴を持っています。
前期ジョージアン様式
前期ジョージアン様式は、
ジョージ1世が国王だった1714年~1727年頃までの期間を指します。
ジョージアン様式が登場するまで、
クイーン・アン様式という言ってしまえばシンプルなバロック様式が主流のスタイルでした。
前期ジョージアン様式の頃にパラディアン様式という、
シンメトリー、円柱の大きな柱、神殿を思わせる大きな窓、
この様な古代ローマのスタイルが主に建築物で流行しました。
インテリアではあまりこのパラディアン様式は見ることが出来ず、
基本的にはバロック様式のインテリアが引き続き使用されていました。
ごくわずかではあったようなのですが、
このパラディアン様式で出来た家具もいくつかあるようです。
これはあまり普及することはなかったようです。
中期ジョージアン様式
中期ジョージアン様式は、
ジョージ2世が国王だった1727年~1760年頃までの期間を指します。
中期ジョージアン様式と時期を同じくして、
フランスではロココ様式が流行していました。
ロココの流行はイギリスにも広まったので、
中期ジョージアン様式はロココ様式の要素がたくさん見られます。
このことから、中期ジョージアン様式はイングリッシュ・ロココとも呼ばれることがあります。
中期ジョージアン様式の特徴についてはロココ様式を参考にしていただけるとわかりやすいのですが、
曲線的でアシンメトリー、華やかで繊細なスタイルです。
ただ、フレンチ・ロココのパステルカラーと白のフレームのお姫様のようなイメージとはやや異なり、
イングリッシュ・ロココは鮮やかな色やはっきりとした色もよく使われています。
金色もよく使われていたので、
お姫様というよりも王様やお妃様のサロンの様な豪華な印象です。
また、中期から後期ジョージアン様式にかけては、
有名な家具デザイナーが誕生します。
イングリッシュ・ロココの代表的なアーティスト、トーマス・チッペンデールは、
特にユニークな背もたれを持つ椅子がとても有名なアーティストです。
後期ジョージアン様式
後期ジョージアン様式は、
ジョージ3世が国王だった1760年~1800年頃までの期間を指します。
後期ジョージアン様式と同時期にフランスで流行した新古典主義、
特にルイ16世様式の影響が強く出ています。
後期ジョージアン様式の特徴は、
ルイ16世様式と同じく、
反ロココ、直線的で古代ローマやギリシャのデザインが多用されているところです。
そうなると、
こちらも新古典主義であるリージェンシー様式との違いが良くわからなくなってきそうなのですが、
後期ジョージアン様式はバロックやロココなどの華やかなスタイルからよりシンプルな新古典主義への移行期間の様なイメージです。
確かにロココ様式とは異なり、
直線的で重めの印象があるのですが、
細かい装飾などの部分は若干バロックやロココの様な印象も持ち合わせています。
後期ジョージアン様式で有名なアーティストは、ロバート・アダムです。
建築家であったアダムは、部屋の内装にもこだわり、
アダムスタイルと呼ばれるほどに彼の家具は有名になりました。
ジョージアン様式の代表作
長いジョージアン様式には、
やはりたくさんの代表的な作品が残っています。
ジョージアン様式で押さえておきたい建築物とアーティストをご紹介します。
ジョージアン様式の建築物
- サマセット・ハウス(ロンドン)
- シオン・ハウス(ロンドン)
- エディンバラ市役所(エディンバラ)
- ケンウッド・ハウス(ロンドン)
- オスタリー・パーク(ロンドン)
アーティスト
- トーマス・チッペンデール(中期ジョージアン様式)
- ジョージ・ヘップルホワイト(後期ジョージアン様式)
- ロバート・アダム(後期ジョージアン様式)
- トーマス・シェラトン(後期ジョージアン様式)
アーティストがたくさん生まれたジョージアン期
ジョージアン様式ではインテリアや家具のアーティストが、
フランスのアール・ヌーヴォー期やオーストリアのユーゲントシュテルのようにたくさん生まれた時期です。
どうやらイギリスのインテリアの黄金期はこのころだったようです。
今でもアダム様式やチッペンデール様式のような有名なアーティストの作品は、
リバイバルなどで現在でもたくさん目にすることがあります。
ロココ様式や新古典主義だけでは物足りなくなった時は、
ご紹介したようなアーティスト毎のテイストの違いを楽しんでみるのも面白いかもしれません。
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