アンティーク様式第14弾、ご存知バロック様式
今回はバロック様式について考察してみたいと思います。
バロック様式、
イタリアで16世紀末に生まれ、
1600年頃から1750年頃までヨーロッパの広範囲に広まった芸術スタイルです。
(年代については各国様々なので、大まかな年代を記しています。)
バロック様式はヨーロッパ中で流行したスタイルなので、
今回もフランスとオーストリア他をまとめてご紹介したいと思います。
…またイギリスだけちょっと違う流れなので別記したいと思います。
ただ、イギリスは流れや名称が違うくらいで、
基本的には17世紀から18世紀初頭のヨーロッパのスタイルはバロック様式です。
このバロック様式ですが、
フランスでは特にルイ14世様式と呼ばれています。
煌びやかなバロック様式は現在でも大変人気の高いアンティーク様式です。
ロココと並んで昔から人気のあるバロック様式
バロック様式の人気は現代だけでなく、
昔から何度もリバイバルを繰り返されてきたことからも伺えます。
シンメトリーで華やかなスタイルのバロック様式は、
おそらくフランスのアンティーク様式では最も壮大で豪華なものと言うことが出来るでしょう。
それまでの重厚で重苦しかったインテリアが一気に華やかになったのがバロック様式です。
ロココ様式の様なパステルカラーでお姫様の印象よりも、
もう少し豪華さや重厚さが残ったバロック様式は、
恐らく万人に受け入れやすいアンティーク様式とも言えるかもしれません。
万人を魅了するバロック様式の美しさは何と言ってもその繊細な装飾にあるでしょう。
バロック様式の特徴
バロック様式の大きな特徴は、
シンメトリーであること、
植物のモチーフが用いられていること、
金色の装飾が施されていることなどが挙げられます。
もう少し細かい部分を見てみると、
putti(プッティ)と呼ばれる男の子の天使のモチーフが用いられていたり、
人のイニシャルがデザインの中に組み込まれていたり、
権力の象徴である軍事的なモチーフが用いられていたり…
色々な特徴がみられるのですが、
最初に挙げた主な特徴3つをもう少し詳しくご紹介したいと思います。
シンメトリー
バロック様式の最大の特徴は、
左右対称のシンメトリーのデザインであることです。
バロック様式とロココ様式は繊細な装飾部分などが少し雰囲気が似ているのですが、
シンメトリーかアシンメトリーかでこの2つを分類することが可能です。
規則的で対称なバロック様式はより厳格な印象を持っています。
バロック様式はルネサンス以前の様式から、
この左右対称性と巨大なインテリアを引き継いでいて、
壮大で力強く、豪華な印象が強いインテリアスタイルです。
植物のモチーフ
バロック様式のもう一つの特徴は、
花や果物、木々などの植物のモチーフが装飾として使用されていることです。
植物をモチーフとすることで、
優雅な曲線が装飾の中でたくさん用いられることになります。
ルネサンス以前の様式のような直線的で重たい印象とは異なり、
細かい植物の曲線が、
インテリアを華やかで美しく引き立ててくれています。

こちらの写真は、
イタリアンバロックの鏡です。
1m以上ある巨大な鏡は、
植物のモチーフがシンメトリーに全体に施されていて、
重厚で華やかなバロックらしいスタイルです。
イタリアのバロックなので、
ルイ14世様式とは詳細部分の見た目が異なりますが、
バロックの特徴は共通しています。
金色の装飾
バロック様式の最後の特徴は色使いです。
特にバロック様式から始まった金色の塗装は注視すべき特徴でしょう。

こちらの写真はまたバロック様式の鏡です。
この鏡のフレームのように、
木材部分を金色に塗装した家具がたくさん登場するのがバロック様式です。
この金色のフレームを中心として、
赤や緑などの鮮やかな色をふんだんに用いて、
煌びやかな色彩のインテリアが多いのがバロック様式です。
またロココ様式との対比になりますが、
バロック様式は鮮やかではっきりした色使い、
ロココ様式は白やパステルカラーなどの淡い色使いと、
色使いでもこの2つの様式を明確に分けることが可能です。

ちなみに、
こちらの写真はバロック様式の建築物です。
(近所で見つけました。)
建築物も装飾が細かくて豪華ですね。
色は何度も塗り替えられてきたたので、
オリジナルの色はわかりませんが、
ピンクと白の組み合わせが少しロココを思わせます。
この建物は普通のアパートなのですが、
バロック様式のお部屋なんて豪華そうですね。
バロック様式の代表作
バロック様式の時期にはヨーロッパを代表する建築物がたくさん生まれました。
特に有名な建築物をいくつかご紹介します。
バロック様式の建築物や芸術作品
- シェーンブルン宮殿(ウィーン、オーストリア)
- ルクセンブルク宮殿(パリ、フランス)
- ヴェルサイユ宮殿(ヴェルサイユ、フランス)
- サン・ピエトロ大聖堂(バチカン市国)
- ルードヴィッヒスブルク宮殿(ルードヴィッヒスブルク、ドイツ)
上記が主な建築物となりますが、
17世紀から18世紀初頭にかけての建築物なので増改築や修復が長い時をかけて行われているので、
一部バロック様式というのが正しい表現かもしれません。
建築物以外にも、
絵画や彫刻、音楽、ファッション、文学に至るまでバロックというスタイルは普及しています。
- 聖テレジアの法悦、ジャン・ロンツェオ・ベルニーニ(彫刻)
- ヨハン・セバスティアン・バッハ(音楽)(バッハってヨハンって名前だったんですね。)
- 真珠の耳飾の少女、ヨハネス・フェルメール(絵画)
どこかで見たこと、聞いたことがあるものばかりが名を連ねています。
バロックがヨーロッパを一世風靡したスタイルであることがここからもうかがい知れます。
バロック様式の家具は今でも何とか手に入る
人気も、芸術家からの評価も高いバロック様式、
アンティークインテリアとしても人気が高いスタイルです。
バロック様式は既に400年近い年月が経過しているのですが、
ギリギリ、アンティークショップでも手に入れることが出来るアンティーク様式です。
手のひらサイズの置物が数万円というびっくり価格ですが、
400年の時を想うと納得の価格です。
バロック様式をお気軽に試してみたいのであれば、
ヒストリスムスなどのネオ・バロック様式がおすすめです。
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