有名なので触れておきます、イギリスのクイーン・アン様式

アンティーク様式第15弾、クイーン・アン様式

 

アンティーク様式について考察していくのも15回目になりました。

 

ざっくり考察も残すところこのクイーン・アン様式と、

ルネサンス、ゴシック、ロマネスクのみになりました。

 

…あぁ、最後3つのハードルの高さに既に涙が出そうです。

 

さて、今回のクイーン・アン様式、

何となく聞いたことがあるような気もするという方も多いかもしれません。

 

イギリスで18世紀に流行し、

その後イギリスのみならずアメリカでも人気の出たスタイルです。

 

短い期間でしたが人気があったクイーン・アン様式

 

そのクイーン・アン様式は、

1702年~1714年と本当に短い期間でしたが根強い人気があるアンティーク様式です。

 

ちょうど同じ頃、フランスやオーストリアではバロックが流行していました。

 

もちろんイギリスでもバロックは流行していたのですが、

イングリッシュ・バロックと考えられるのはクイーン・アン様式の一つ前、

ウィリアム3世様式の方がしっくりくるでしょう。

 

ウィリアム3世様式は1688年~1702年のスタイルで、

クイーン・アン様式と同様に独立した記事を書いた方がいいかもしれないのですが、

ヨーロッパ大陸のバロック様式と内容がかなり被るのでやめておきます。

 

ウィリアム3世様式のバロックの影響を若干残しつつ、

独特な形で進化したクイーン・アン様式の特徴について見ていきたいと思います。

 

クイーン・アン様式の特徴

 

クイーン・アン様式は、

同時期にヨーロッパ大陸で流行していたバロック様式よりもはるかにシンプルなデザインです。

 

バロック様式のシンメトリーで曲線的である部分は共通しているのですが、

細かい彫刻や金色の塗装など、華美な装飾は省かれています。

 

ですので、クイーン・アン様式はより素朴な印象があります。

 

 

ではクイーン・アン様式の詳細な特徴をご紹介します。

 

カブリオレの脚

クイーン・アン様式の最大の特徴は家具の脚にあります。

 

カブリオレの脚と呼ばれる、

いわゆる猫脚がクイーン・アン様式の最大の特徴です。

 

カブリオレの脚を持ったイギリスの家具=クイーン・アン様式と言っても過言ではありません。

 

このカブリオレの脚はフランスのデザインなのですが、

この当時イギリスとフランスはあまり(?)いい関係ではなかったため、

クイーン・アン様式ではフランスのデザインをそのまま利用したわけではなく、

イギリス独特のスタイルが誕生していきました。

 

フランスなどのバロック様式のカブリオレの脚が細かい装飾で覆われているとしたら、

クイーン・アン様式のカブリオレの脚はベースの形のみでシンプルな曲線を描いているのみなのです。

 

落ち着いたデザイン

クイーン・アン様式は基本的にシンプルなデザインです。

 

バロックやルネサンスの古典的な要素は残しつつ、

無駄な飾りを避けたこのデザインは、

19世紀にアメリカでもリバイバルできた要因でもあるかもしれません。

 

クイーン・アン様式のシンプルさは、

18世紀というヨーロッパの上流階級が全盛期だった時代にしては質素な雰囲気を醸し出しています。

 

見た目的にはネオ・バロックとかセカンドエンパイアとか、

リバイバルの様な雰囲気が初期から出ています。

 

クイーン・アンが見た目よりも使いやすさに重点を置いたデザインを好んだことにより、

この様なシンプルで落ち着いたデザインが広く広まったようです。

 

使いやすいデザインの家具ですので、

もちろん木材も扱いやすい物が使用されています。

 

クイーン・アン様式の主な木材はウォールナット材です。

 

やや暗めな色も相まって、

けばけばしくない落ち着いた家具が出来上がったのです。

 

クイーン・アン様式からイギリスの独自路線が開始

 

クイーン・アン様式、

どうやらこのころからイギリスの独特なスタイルは誕生したようです。

 

フランスやオーストリアがバロックで煌びやかな家具をもてはやしていた頃、

何故か一度バロックが流行したイギリスはシンプルになるという…

 

ただクイーン・アン様式の後、

ジョージアン様式で煌びやかなバロックやロココが復活してしまうのですが、

この独自路線は引き継がれていきます。

 

個人的な感想ですが、

クイーン・アン様式ってビクトリア様式の基みたいな印象があります。

 

ビクトリア様式自体この頃の貴族階級のスタイルのリバイバルだったので、

一概には間違いではないかもしれません。

 

イギリスの個性が活きているクイーン・アン様式、

年代が古いので、初期のものはなかなか手に入れられないのですが、

特にアメリカでのリバイバル商品は気軽に手に入れられるようです。

 

使いやすい古典的なアンティークをお探しなら是非!

 

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