アンティーク様式についての第17弾、ゴシック様式
前回のルネサンス様式と打って変わって、
今回は中世ヨーロッパのゴシック様式についてご紹介したいと思います。
ルネサンス期に相当なアンチを生んだゴシックですが、
(特にイタリアで)
数百年前から現在に至るまで根強いファンが残っています。
タイトルに中二病とか書いちゃいましたが、
私が中学生くらいの時にゴシックスタイルは憧れましたね。
そんなオタクが多いアンティーク様式のゴシックについて今回は触れてみたいと思います。
中世ヨーロッパで長い期間流行したゴシック様式
ゴシック様式は1150年頃~1550年頃まで、
アルプス以北のヨーロッパで流行したスタイルです。
イタリア人には好かれなかったようで、
イタリアではほとんどゴシック様式の何かを見つけることが出来ません。
やはりゴシックと言えばフランスとイギリスでしょうか。
そんなゴシック様式、
恐らく脳裏に浮かぶ廃墟のお城でまどろみがちでそろそろ翼を広げそうなイメージとは異なり、
ヨーロッパにある巨大な教会の様なスタイルがゴシックです。
要するに教会の権力がにじみ出ているスタイルですね。
ではゴシックの詳細な特徴について見ていきたいと思います。
ゴシック様式の特徴
前述した通り、
恐らく現代のゴシックのイメージとは若干異なり、
暗くて黒いヴィジュアル系の様なスタイルではありません。
どちらかと言うと奇抜で明るい色使いが多いのがゴシック様式です。
ゴシック様式で多用されていた色は、
金、赤、青、緑などで、
上記のイメージとはかけ離れた鮮やかな印象の強いスタイルです。
ゴシック様式の詳細な特徴は以下の通りです。
とげとげしている
ゴシック様式の建築物やインテリアに多く見られるのが、
とげとげした尖頭アーチと呼ばれる先の尖ったアーチがたくさん使用されています。
尖頭アーチというのは、
通常のアーチの先頭部分が半円なのに対し、
先端が尖っていて緩やかに弧を描きながら下の長方形部分に降りてくるアーチです。
また教会の一番上、尖塔と呼ばれる細く尖った部分がゴシック建築の特徴です。
この当時、塔!塔がもっと天に延びるようにもっともっと!
と尖らせまくった結果、とげとげしたデザインが誕生したようです。
(ちょっと前に流行った世界高いビル建設選手権の中世ヨーロッパ版です。)
この教会で多用されている先の尖ったデザインが、
家具などのインテリアにもたくさん用いられています。
ですので一言で言うととげとげしたインテリアが多いのです。
若干先端恐怖症の私としてはベッドフレームがゴシック様式だと恐ろしくて眠れません。
直線的でシンメトリー
ゴシック様式では曲線的で華やかなバロック等のスタイルと比較すると、
とても直線的で規則的なパターンが使用された生真面目なデザインです。
前述した先の尖ったデザインも相まって、
家具を置くだけで何となく教会の雰囲気が漂うようなそんなデザインが多いです。
真面目で神聖な印象と言うことです。
巨大、家具も教会みたいに巨大
ゴシック様式は特に教会のスタイルで顕著なのですが、
とにかく巨大です。
いわゆるヨーロッパの大聖堂レベルの教会たちはほぼゴシック様式です。
そんな大聖堂レベルのデザインを家具にも応用しているゴシック様式ですので、
家具もビックリするほど壮大です。
ゴシックスタイルの家具はお城か教会くらいでしか使われなかったので、
巨大でも何のそのだったわけです。
近世や近代のように広く一般に広まった家具ではないので、
質の面でも高かった家具だったとされています。
ゴシック様式の家具では主にオーク材が使用され、
大きくて固くて丈夫な家具が多かったようです。

ここでいきなり写真のご紹介ですが、
これはウィーンのシュテファン大聖堂の写真です。
わかりますよね、
この右側の塔のとげとげした感じに加えて、
左側の建物の尖頭アーチの窓が完全にゴシック様式です。
この様な特徴が家具にもふんだんに使われているのがゴシック様式です。
ただこのシュテファン大聖堂の中の祭壇はバロック様式なんですよね。
残念。
ゴシック様式の代表作
ではゴシック様式にはどのような作品があるのか、
いくつかご紹介したいと思います。
…教会のご紹介になりますかね。
- シュテファン大聖堂(ウィーン)
- ノートルダム大聖堂(パリ)
- ケルン大聖堂(ケルン)
- ウェストミンスター寺院(ロンドン)
- ミラノ大聖堂(ドゥオーモ)(ミラノ)
名立たる教会(観光名所)ばかりですね。
イタリアはアンチゴシックだったので、
ミラノのドゥオーモくらいしかゴシック建築がないのですが、
その割にはもの凄いサイズですよね。
その他、ノートルダム大聖堂(パリ)と記載しましたが、
ランスとかアミアンとかのノートルダム大聖堂もゴシック建築です。
ゴシック様式は中世ヨーロッパを代表するスタイル
ゴシック様式は流行が始まってから既に900年近く経過したデザインですが、
今なお人々を虜にするデザインです。
ゴシックと聞くとどうしてもゴスロリとかヴィジュアル系とか思い出しちゃうんですが、
初期ゴシックはやはり全然違うんですね。
というか、ゴスロリのゴスってゴシックのことだったんですね。
どうやら近年のゴシック・スタイルというものは、
ビクトリア様式のゴシックリバイバルが起源のようです。
リバイバルにリバイバルを重ねるゴシック様式、
是非初期ゴシックの壮大さや美しさをヨーロッパ(の教会)で堪能してみてください!
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