トーネットの椅子 No.14

ベンドウッド家具の代表、トーネット

 

 

トーネット、

アンティークの、特にアール・ヌーヴォー様式好きな方なら、

恐らく一度は聞いたことのある名前だと思います。

 

当店でも取扱数の多いトーネット。

 

マスプロダクトでありながら、

デザイン性に優れたトーネットは、

一体どの商品が何なのか、

わからなくなるほどたくさんの種類が存在します。

 

今回から数回にわたってこのブログ上に、

1910年頃までのトーネット製品についてご紹介していきたいと思います。

 

アール・ヌーヴォー様式限定ということですね。

 

椅子を中心にご紹介していく予定ですが、

たまにテーブルなどもご紹介出来たらいいなと思います。

 

 

さて、初回の今回、

一番最初にご紹介するのは、

トーネットでも最も有名なベンドウッド・チェア No.14、

こちらをご紹介したいと思います。

 

このNo.14なくしてトーネットは語れません!

椅子の中でも一番有名なのではないでしょうか。

 

 

No.14と呼ばれる椅子

 

 

では早速ですがトーネット No.14を、

写真と、まさかの絵でご紹介したいと思います。

 

トーネット No.14 Thonet
トーネット No.14 Thonet

 

一先ず、

両方ともトーネットNo.14です。

 

謎の絵ですが、

自分で書きました…。

 

即興なのでバランスが全く取れていません。

座ったら折れそうなトーネットになってしまいました。

ごめんなさい。

 

なかなかこのタイプのNo.14は手に入らないので、

致し方無いと思って許してください。

 

 

では気を取り直して…

 

トーネットの最も有名な椅子、No.14は、

1859年にKoritschanの工房(現在のチェコ)で誕生しました。

 

初代のNo.14は絵で描いたものになるのですが、

6つのベンドウッドで出来ています。

(背もたれから後ろ脚、背もたれ部分の短い所、座面の枠、座面下の輪っか、前脚×2本)

 

後期(1900年前後)になると、

写真のように8つのベンドウッドピースで作られます。

背もたれと座面を繋ぐピースが増え、

より丈夫で安定感のある椅子へと変化していきました。

 

このNo.14は5千万脚販売という当時では異例の数字をたたき出します。

 

 

このNo.14は現在でも、

名称をThonet 214と変えて製造・販売されています。

 

日本では無印良品がNo.14のリデザインモデルを販売しています。

 

現在でも世界中で愛されている椅子です。

 

 

トーネットNo.14の凄いところ

 

 

前述しましたが、

トーネットNo.14の凄いところと言えば、

何と言っても販売数ではないでしょうか。

 

1900年代前半には販売数が既に5千万脚を越えています。

 

この様に、トーネットNo.14はマスプロダクトなのですが、

アンティークとして当時の商品が現在でも取引されているのも凄いところです。

 

大抵マスプロダクトというものは時間の経過とともに価値を失っていきます。

 

しかしトーネットNo.14は現在でも200ユーロ前後で取引されています。

 

 

また、このシンプルなデザインのおかげで、

ベンドウッド部分は100年以上経っても割れることなく綺麗なまま、

座面だけ張り替えればほぼ一生使える優秀な家具です。

 

前項で述べた通り、

No.14は6つ若しくは8つのベンドウッドピース+座面で出来ています。

 

主に座面の板か編み座が壊れることが多いのですが、

一部ねじの緩みや脚のがたつきが出たとしても、

シンプルな構造故、修復することが可能です。

 

個人的に何度も使い古されたトーネットNo.14を見てきましたが、

致命的な損傷があるものを、

座面以外は今まで見たことがありません。

 

 

丈夫でシンプルで尚且つ美しい椅子、

トーネットNo.14は歴史に名を残す偉大な椅子です。

 

 

トーネットの回、第一回目でした。

 

 

何故いきなりトーネットの記事を書こうと思ったのか…

 

今まで何度も何度もトーネットの家具を取り扱ってきたのですが、

どのトーネットが一体何なのかよくわからなかったり、

微妙な偽物やリプロダクト商品を売りたい人が結構たくさんいたので、

知識をつけようと始めてみました。

 

且つ、

最近1910年に発行されたトーネットカタログを手に入れました!

再版のものなので本自体は新品です。

 

このカタログを眺めていると、

トーネットについて書かずにはいられなくなったというのもあります。

 

トーネットは本当に素敵な家具を製造販売しているんですよ。

 

 

最初にも述べた通り、

これからトーネットのアール・ヌーヴォー期の作品を色々とご紹介出来たらなと思います。

 

手に入らないような珍しいものは、

今回の様に謎のイラストでお伝えすることもあります。

 

へたくそですがご了承ください。