ミヒャエル・トーネットがデザインした初期の椅子
前回のブログ、
トーネットの椅子 No.14 に引き続き、
トーネットについてご紹介するブログを書きたいと思います。
前回が最も有名なトーネットの椅子、
No.14をご紹介したのですが、
今回は初期の頃の椅子をご紹介したいと思います。
No.14も1859年に製造を開始したので、
トーネットというメーカーとしては初期の作品にあたるのですが…
今回ご紹介したいのは、初期モデルとNo.4です。
後ほど可能な限り詳しくご紹介したいと思うのですが、
初期モデルは1830~1840年代にかけての作品、
No.4は1850年の作品なので、
イメージするトーネットとちょっと趣が違うかもしれません。
では早速トーネットの初期の椅子をご紹介したいと思います。
初期の椅子色々
さて、トーネットの初期の椅子ですが、
前述のように、
3作品をご紹介したいと思います。
1830年代に木を曲げて家具を作るということを開始し、
1836年にBoppard chairという椅子を発表します。

…
例にならって手書きの図です。
脚の部分が私の持っているカタログだとこんな感じなのですが、
実際はもっとくねくねしてました。
Boppard chairはオリジナルの物だと、
現在では数百万円するので、
もちろん現物は当店にはありません。
なので下手くそな絵というか図で勘弁してください…
でも今回はちゃんと構図を取ったつもりなんですよ。
さて、このBoppard chair、
No.14や現在制作されているトーネット製品とは雰囲気が違います。
もっと古典的なデザインですね。
1836年という時代がちょうど、
ビーダーマイヤー期だったので、
古典様式が家具の主流だったことも影響しているのだと思います。
ちなみに、
このBoppard chairという名前ですが、
トーネットの生まれた町であり最初の工房を作った、
ドイツのBoppard(ボッパルト)に由来しています。

もう特に手書きの図なんてどうでもいいと思うんですけど…
描いちゃったので一応載せとこうかなと思います。
恥を晒しているだけの様な気もしますが…
これもBoppard chairですね。
肘掛けが付いています。
ベンドウッドの技術が非常に高くて、
なぜか絵の方が下手くそです。
初期の作品でも、
ここまで曲木の技術があるのがさすがトーネットです!
トーネットが木を曲げる方が、
素人が曲線を描くよりも遥かに上手なのだと思い知った瞬間です。
特にカフェ・ダウム
Boppard chairは、
トーネットが最初に作ったベンドウッドの椅子でしたが、
このBoppard chairの次の作品が彼の名を一気に広めることとなった、
No.4、カフェ・ダウムです。

図が…
図が…
微妙に崩壊しているのは許して下さい。
(背もたれ部分だけでも雰囲気が伝われば成功です。)
こちらの作品ですが、
基本的にはNo.4と呼ばれているのですが、
ウィーンのカフェ、ダウムの為に作られたこの椅子は、
通称カフェ・ダウムとも呼ばれています。
何そのカフェ、行ってみたい!
と一瞬思いましたが、
1877年にクローズしていました。
100年以上前のお話でした…
残念。
それでも50年弱営業していたカフェのようです。
1849年にトーネットはウィーンに工房を移します。
その時の最初のデザインした椅子がこのカフェ・ダウムです。
同時にコートスタンドもデザインしたようなのですが、
コートスタンドについてはまた今度ご紹介したいと思います。
このカフェ・ダウム、
細かいベンドウッドやデザインがエレガントな雰囲気を持っていますが、
かなり私たちの知るトーネットと近いデザインかなと思います。
扱いやすい、座りやすい、丈夫なベンドウッドの椅子の初期型です。
ちなみに、
椅子の座面や、フットリンクと呼ばれる脚部分を繋ぐパーツですが、
図と私の持っているトーネットとなんか違う…
ということが良くあります。
これはオーダーした人が自由にパーツを選べるので、
所有者によってパーツが変わっているからです。
細部が違うからといって、
一概にコピー商品とは言えないので参考までに。
初期のトーネットはとてもお高いです
今回は初期のトーネットの作品を2種類見ていきました。
ブログを書くと同時に、
良くその作品の一般的な価格を調べるのですが、
今回のトーネット作品はどれもビックリするくらい高額でした…
特にBoppard chair。
売り手もほぼいないです。
車が買えそうな値段です。
また、No.4 カフェ・ダウムも、
ヨーロッパの相場で大体1200ユーロくらいだそうです。
高い。
でも既に150年くらい経過した椅子なので、
そう考えるとあり得る値段なのかもしれません。
いつか実際にお目にかかれることを楽しみに、
次回のトーネット記事の考察をしたいと思います。