1800年代後半トーネットのベストセラー
前回のブログまで結構古いトーネットのお話をしてきたのですが、
今回はトーネットNo.14で一躍有名になった後のデザインをご紹介したいと思います。
今回は椅子のみのご紹介です。
このブログでご紹介しようと思っているトーネットは、
基本的にはアール・ヌーヴォー期までのものです。
ですので今回も1800年代後半の作品をご紹介するのですが、
100年以上経った現在でも、
同じデザインの椅子を世界中で見ることが出来ます。
普遍的なデザインなんですね。
では早速今回のトーネット作品をご紹介いたします。
トーネット No.18とNo.56
今回のトーネット作品は、
No.18とNo.56という椅子です。
この2つの作品は、
トーネットNo.14に続いてベストセラーとなった作品です。
カフェやレストランなどで広く人々に親しまれたデザインです。


今回は実物がありました!
(もう売れてしまいましたが…)
なので写真でご紹介出来ます!!
トーネットNo.18
まずは最初の写真から。
(PCで見ると左側、スマホで見ると上の写真です。)
こちらがトーネットNo.18です。
少しNo.14と似ていますね。
というかはっきりとした違いは背もたれ部分だけかもしれません。
背もたれの中央にヘアピン状のデザインが施されています。
これがNo.14とNo.18の大きな違いです。
その他のパーツはNo.14と同様、
使用者の好みに合わせてデザインを変更出来たので、
座面が台形だったり、脚を繋ぐベンドウッドのデザインが異なったり、ヘアピン部分に板が張られていたり…
色々なパターンを見つけることが出来ます。
写真のNo.18は1900年代のもので、
1800年代の物と1900年代に作られた物の違いが、
座面と背もたれ部分を繋ぐパーツが付いているか付いていないかなので、
これもNo.14と同じということになります。
こちらのデザインもトーネットのベストセラーの1つなので、
たくさんたくさん生産されました。
現在でも良く見かけるトーネット作品の1つで、
現在は218という名称で販売されています。
トーネットNo.56
続きまして次の写真、
(PCで見ると右側、スマホで見ると下の写真です。)
こちらがトーネットNo.56です。
先ほどのNo.18と背もたれ部分のヘアピンが被りますが、
全体的にやや雰囲気の異なるデザインになりました。
角ばりましたね。
ベンドウッドの技術はそのままなのですが、
やや素朴な印象が強くなった感じがします。
(あくまで個人的な感想です。)
このNo.56はNo.14やNo.18と比較すると、
ベンドウッドのパーツが2つ増えています。
No.14やNo.18は、
背もたれ部分から後ろ脚にかけたパーツが一つながりになっているのに対し、
No.56は、
背もたれ部分から後ろ脚のパーツが2つに分かれ、
更にそれを繋ぐパーツが1つ追加されています。
この背もたれ部分のパーツを分けることによって、
木材の無駄を省くということを目標にしたようなのですが、
無駄を省くだけではなく、
より多彩なアレンジを加えることが可能となったモデルとなりました。
No.59やNo.62、
No.56にアームを付けたNo.1056など、
No.56から派生していったデザインはたくさん残っています。
(No.56ほどに出回ったデザインではないので、未だお店に来たことはありませんが…)
No.56とセットで使える2~3人掛け用のベンチもあるんですよ。
No.2056と3056です。
揃えて並べるとかなり圧巻です。
当時の類似品もたくさんあります
今回ご紹介したNo.18とNo.56、
それに以前ご紹介したNo.14は、
トーネットの代表作といえる作品です。
大量生産を可能にして、
更に使いやすく美しいデザイン、
もちろん色んな企業が当時マネをして作った製品もあります。
本物のトーネットにはシールや刻印がありますが、
修復されていくうちに無くなってしまうことがあるようです。
ただ大抵座面の木枠にあるので、
一部くらいは残っていることが多いです。
このシールや刻印でトーネットの時代もわかります。
もし、トーネットっぽい家具を見かけて、
本物かどうかいまいち良くわからない時は、
アンティークショップなどの専門家に確認するのもありです。
大量生産商品なのに、
ここまで人を魅了するトーネット、
これからもこのブログで取り上げていきたいと思います。